第19回日本血管腫血管奇形学会

会長挨拶

 医学・医療は、今めざましく変化しております。 血管腫と脈管奇形(動静脈奇形、静脈奇形、毛細血管奇形、リンパ管奇形、関連する症候群)は、ここ数年で、病因となる遺伝子変異が多く特定され、新規薬物治療が登場しております。 この度第19回日本血管腫血管奇形学会と、第14回血管腫・血管奇形講習会を、2023年9月7日(木)・8日(金)の2日間、開催させていただくことになりました。 感染対策に配慮しながら、名古屋の今池ガスビルで現地とwebのハイブリッド開催を行います。
 学会のテーマに挙げた、“Love your mission passionately”は、人体を形作ることで芸術性を表現した彫刻家のロダンの言葉を拝借いたしました。 私達のミッションは、自身の専門分野に立脚して、血管腫・血管奇形の患者さんの身体的精神的苦痛を改善することだと思います。 会員一人ひとりが熱意を持って持てる知識と技術を医療に注ぎ込むことが、この分野の更なる発展につながると信じております。
 学術集会には皆さまから多くの演題の応募をいただき、誠にありがとうございました。それらのうち、静脈奇形の演題と難治症例を中心に、ポスターセッションとさせていただきました。 ポスターセッションには一般口演よりも多い発表時間と討論時間を確保しました。合計11演題のご発表を2日間にわたる3つのセッションに分けました。 開催中に十分に時間をかけて討論していただければと思います。
 メイン会場においては、初日から2日目の午前まで一般演題を中心に症例報告に力を入れました。さらに、目覚ましい進歩を遂げているIVRのテクニックをパネルディスカッション1にてご紹介していただきます。 そして、リンパ管奇形への薬物治療が各症例でどのような成果を上げているか、最新の状況が見えるご発表をいただきたく、パネルディスカッション2を組みました。
 本学会の学術集会には年々多くの診療科の先生が参加していただけるようになりました。初日午後には整形外科の西田佳弘先生と生越章先生にご講演いただきます。 お二人の先生とは「原発性良悪性骨軟部腫瘍患者のADL、QOL向上に向けた取り組み」のワーキンググループで、活動を共にしております。 整形外科領域での「血管腫」の診療について本学会でご報告をいたただきたいと思います。
 ISSVA分類による用語の統一が提唱されて以来、malformationとhemangiomaを厳密に区別した診療を心がけた結果、患者さんを適切な治療とケアへ導くことができ、新規薬剤の適切な使用が可能になりました。 4月にBostonで開催されたISSVA2023へ出席された岐阜大学小児科の小関道夫先生には初日夕方のセッションで世界の最新の動向について報告していただきます。
 学会2日目午前には、東海地区のKlippel-Trenaunay症候群の患者の診療に長年尽力されている大雄会第一病院血管外科顧問の太田 敬先生に特別講演をお願いしております。 毎月、愛知医大形成外科で特殊外来をご担当いただいていますが、私は血管外科の診療のノウハウを多く学んでいます。皆様ぜひご参加ご視聴ください。
 診療ガイドラインの改訂、医師主導治験の成果等をこの学術集会の2日目午後にご発表いただけるのを心から嬉しく思います。特に、2日目最終セッションには患者会参加シンポジウムを企画いたしました。 ご講演をお願いした先生方におかれましては、可能な限りエビデンスに基づいて、治療法の有効か否かを簡潔にお伝えしていただければと思います。
 多くの皆様のご参加を心からお待ちしています。参加費の決裁について、ネットショップ(BASE)で、参加証引換券をカートに入れて購入していただく方式を導入し、クレジット決済の経費節減と当日の受付業務の簡略化を目指しました。 また、円滑な進行のために口演スライドはあらかじめご登録いただくことにしました。参加と演題につきまして早めのご登録を何卒よろしくお願いします。  最後に、学術集会・講習会の開催にあたり、共催、出展、広告協賛をいただいた企業、ご支援をいただいた愛恵会の皆様に深くお礼申し上げます。

  2023年7月吉日
第19回日本血管腫血管奇形学会学術集会
会長 古川 洋志
愛知医科大学 形成外科学講座 教授